あなたは、営業職にどのようなイメージを持っていますか?
ノルマがきつくてたいへんそう、お客さまに土下座して謝っている、体育会系の集まりで上下関係が厳しいなど。あなたもなんとなく、営業職はたいへんそうだというイメージを持っているのではないでしょうか。
私は現在営業職をしており、日々営業成績No.1の先輩から営業の仕事を教わっています。
私も営業職につくまでは、営業に対してネガティブな印象がありました。でも実際に営業職を経験してみて、たいへんだけどやりがいのある魅力的な仕事だと感じるようになりました。
今回はいま営業職の人、これから営業職につきたいと考えている人に向けて、営業職のメリットやデメリットを経験者である私が実体験をもとに解説します。
この記事を読めば、営業職のメリット・デメリット、営業職としてはたらくうえでの大事なポイントがわかり、自信を持って仕事に臨めるようになるでしょう。
営業職のメリット
営業職には、さまざまなメリットがあります。営業職としてはたらくことで得られるスキルや考え方、やりがいにはどんなものがあるのでしょうか。以下では、私がメリットだと感じている順に6つご紹介します。
1-1工夫次第で結果が出せる
営業職は、仕事の工夫や努力が結果に表れやすい仕事です。
営業職といえば、あなたは「ノルマ」があると考えるかもしれませんね。ノルマとは、目標のようなものです。自分の成績が数字としてあらわれるので、ノルマを達成できたかどうかを上司にシビアに判断されます。
数字で判断されることに対して、精神的なストレスを感じることもあります。しかし、悪い面ばかりではありません。数字で判断されるからこそ、自分の成長ややりがいにつなげられるのです。
たとえば、あなたは今月のノルマを達成できなかったとします。その場合、あなたの評価は悪くなります。しかしそこであきらめず、なぜ達成できなかったのかを深掘りすることを忘れてはいけません。そしてどう行動すれば達成できるのかを考え、実際に行動に移すことで、目標を達成することができます。そうすれば、あなたは大きな達成感を得ることができるでしょう。
私の経験ですが、新しいお客さまになってもらうため、電話で訪問の約束をしたとき、最初は話さえ聞いてもらえませんでした。その結果まったくアポイントが取れず、心が折れそうになっていました。
しかし電話でお客さまに話す内容を考え直すことで、アポイントを取ることができたのです! 具体的には、訪問をしていいか悪いかではなく、お客さまは私の訪問を受け入れてくれることを前提として、「訪問するなら火曜日か水曜日のどちらがいいですか?」と聞き方を変えました。そうすることで、断られることを未然に防ぐことができたのです。
1件の受注でも、話す内容を自分で考えて変えたことが成果につながり、やりがいを感じました。これは一例ですが、営業をしていると少しの工夫でうまくいくことが多くあるのです。成果が数字として目に見えやすいからこそ、自分の成長が感じられやすく、大きなメリットだと言えます。
1-2受注できたときの喜び
お客さまと商談し、受注が取れたときは、本当にうれしい思いです! 受注するまでには、お客さまのニーズを知り、提案をし、条件面の交渉をするなど、やはりたいへんな局面があると思います。そのような努力がむくわれ、受注が決まったときには、今までの苦労を忘れてしまうほど幸せです。
また自分の提案したものがお客さまの課題を解決した場合、お客さまからも感謝され、一緒に喜びを味わうことができます。
私自身、初めて受注を取れたときのことは今でも覚えています。新規の営業で、営業先のリスト作成から始め、電話で予約をとって、やっと訪問にたどり着き、その1回目の商談で受注できたのです。先輩と2人で商談したあと、営業先から出て、「やったー! 」とガッツポーズをしました。新規営業は特に、1から営業を始める分、なかなか受注をとることが難しいため、よりうれしさが込み上げました。
このように受注できたときの喜びは、営業職だからこそ感じられるメリットです。
1-3人脈が作れ、自分の成長につながる
営業職になると、いろいろな年代、業界の人と話すことができます。このような方々と話すことができると、自分のこれまでの思考の枠をこえた考え方や、情報に触れることができます。そのため、自身の成長につながります。
たとえば私は、会社の上役の人と商談することがありました。そのとき私の業界に対する知識が未熟だったので、取り引きに関する話だけでなく、業界での常識やルールを教えていただきました。他社と取り引きを始めるときには、自社が不利にならないために、気をつけないといけないと改めて実感し、仕事に対する考え方を学ぶことができました。
また営業先の担当者とよい関係が作れると、「自ら営業をかけなくても、新しい営業先を紹介してもらえることがある」と自社で成績トップの営業マンから聞きました。人との出会いが人脈となり、自身の仕事や考え方の面で成長につながります。
そういった社会人としての経験が豊富な方と多くかかわることは、営業職だけのメリットでしょう。
1-4ヒアリング力がつく
営業職の仕事は、商品を紹介することだというイメージがあるかもしれません。しかし商品を紹介するだけでは、なかなか買ってもらえません。なぜなら、お客さまの課題は解決していないからです。そのためお客さまのニーズを理解し、それに合わせた提案をすることが大事です。
そのニーズを引き出すために必要なのが、ヒアリング力です。営業職におけるヒアリング力とは、相手と会話する中で相手のニーズや要望を引き出すことです。
お客さまに質問をして、「現状の課題」「理想的なゴール」を聴くことが営業職にとって重要です。なぜなら課題やゴールを知ることで、お客さまが本当に商品の利益を実感できる響くトークができるからです。
私は商談のときに、特に質問をすることを心がけています。たとえば「現在使っている商品で、気になる点はありませんか?」と質問をすることで、現状の課題を把握することができます。「そんな簡単な質問でいいのか?」と感じたかもしれません。でもいざお客さまと商談すると、自分が話したいことを話すばかりで、まったくお客さまの課題や悩み、ニーズ、本心をわかっていないことはよくあります。私もその失敗から、お客さまの話す内容はもちろん、表情、しぐさ、声のトーンなど、いろいろなことに興味を持ちながら質問するようにしています。
最初は上手にできなくても、営業職につくことで、毎日人と話し、試行錯誤をすることで、次第にヒアリングの精度が高まるのです。
1-5提案力がつく
ヒアリング力とともに営業職には、提案力が大事です。ヒアリングによって聞き出したニーズをもとに、どういう提案をすればお客さまは「買う」と決めてくれるのかを考える必要があります。
提案力がないと、すべてのお客さまに同じ提案をしてしまうことになります。でもお客さまのニーズは、それぞれです。たとえばフライパンの営業をする場合でも、フライパンには、汚れにくい加工をしてあるものや、熱伝導のよいもの、取っ手が外れるものなど、さまざまな特徴があります。その中でも、お客さまによって、興味を持ってもらえるポイントが違うのです。1つ1つニーズに沿った提案をすることが、受注につなげるために大事です。
私の経験では、商品の提案だけでなく、そのお客さまには「どういった場面で使うとより効果を発揮するのか」「使うことでどういうハッピーを手に入れられるのか」など、商品の価値をさらに引き出す提案をしました。
その結果、お客さまと受注につながる話ができるようになりました。お客さまに応じて提案することの大切さを学びました。
提案力が身につくと、「この人は私のことをわかってくれている」と信頼されます。提案力は、営業職でなくても身につけておくと役立つでしょう。
1-6インセンティブがもらえる
インセンティブとは、基本給にプラスして営業の成績に応じて支払われる「報奨金」のようなものです。給料が決まっている職種が多い中、がんばった結果をインセンティブとしてもらえるのは、営業職のメリットです。
会社によって異なりますが、インセンティブの割合が高ければ、年収を上げることもできます。
子どもがうまれた営業職の先輩は、基本給だけでは心もとないと感じて、インセンティブをもらうために、これまで以上に訪問先を増やしていました。
良い成果を残したときにインセンティブをもらえると、モチベーションアップにつながります。モチベーションが上がれば、さらに良い成果をもたらします。その結果まわりからも評価され、もしかすると基本給もアップするかもしれませんね。
このようにインセンティブがもらえるのは、営業職だけが得られるメリットと言っても過言ではないでしょう。
【番外編:こんなメリットもあるよ!】
番外編として、営業職の楽しみ方を2つご紹介します。
(1) 外出・出張先でおいしいご飯が食べられる
営業職の醍醐味と言えば、外出・出張先でのおいしいご飯。商談は、うまくいかなかったり受注に結びつかなかったりと、いいことばかりではありません。私も失敗して落ち込んでしまったことがあります。でもその場所でしか食べられないご当地グルメを楽しみに、がんばることができました! 仕事だけど、少し観光の気分を味わって、おいしいご飯を食べられると「営業をやっていてよかったな」と実感します!
私は営業で、全国に出張することもたくさんありました。特に北陸に行ったときに食べた6貫セットのお寿司が、今まで食べた中で一番おいしく忘れられません…… 営業職のメリットと言えるでしょう。
(2) 気分転換になる
営業職は、商談のために外出することが多いので、気分転換をしながら仕事ができます。事務系の職種だと、毎日社内で仕事をしていますよね。もちろんそれが悪いわけではないですが、たまには外の空気を吸って、メリハリをつけながら仕事をしたいですよね。また1人の時間ができるので、集中して仕事ができます。
営業職のデメリット
どの仕事もメリットがあれば、デメリットもあります。営業職にはどんなデメリットがあるのでしょうか。ここでは、私が実際に感じている順番で3つご紹介します。
2-1ノルマがキツい
メリットのところでも書きましたが、営業職にはノルマがつきものです。会社によってはノルマが達成できないと、上司に怒られたり成績に影響したりします。そのため、精神的にストレスを感じやすい職種だと言えます。
ただし、ノルマはデメリットだけではありません。ノルマを達成するためのプロセスを考え、実行しながら、少しでも成績を伸ばそうとすることは、自分の成長に役立ちます。このように、ノルマを前向きにとらえられたら、少しはキツさをやわらげることができるかもしれませんね。
2-2人間関係のストレス
営業職は数ある職種の中でも、最も人とかかわる職種です。営業職をしていると、お客さまから無理な要求を言われることもしばしばあります。お客さまの要求をとおしたいけれども、上司が許可してくれない。私もこんなふうにお客さまと上司の板ばさみにあい、気がつまる思いをすることもありました。このように人間関係のストレスを感じやすい面がありますが、よい提案ができると直接喜びを感じることができます。お客さまのためを思った行動を取ることに焦点を当てることは、人間関係のストレスを軽くする1つの方法かもしれませんね。
2-3責任が重い
営業職は会社の顔だと、聞いたことがあるかもしれません。それは、お客さまと直接やりとりをおこなう仕事だからです。たとえば納品先で何か不備があった場合、自分が直接悪くなくても、真っ先に怒られるのは営業職です。その責任の重さに、精神的なストレスを感じやすいと思います。ただどれだけ注意をしていても、完全にミスをなくすことはできません。そのため日ごろから社外や社内の人と良い関係を保ち、困ったときには協力してもらえるような体制をつくっておくとよさそうですね。
営業職を続けようか迷っている人は、これを読もう!
このまま営業職を続けていいのか不安なあなた。ここでは営業職を続けるべきかどうか、私の考えをご紹介します。
3-1営業職を続けるかどうか
営業職はストレスを感じやすい職種です。そのためこのまま営業職を続けようか、自分には向いていないのではないかと不安になることがあると思います。もちろん、向き・不向きはあるでしょう。だから、絶対に続けたほうがいいとは思いません。
しかし「自分自身を成長させたい」「仕事にやりがいを感じたい」と少しでも思っているなら、営業職を続けたほうがいいです。
たしかに営業職は楽な仕事ではありません。しかし、成長ややりがいを感じることもできます。もしあなたがそれを目指しているならば、営業職を続けることをおすすめします。
3-2営業職の経験はほかでも活かせる?
営業職の経験は、ほかの仕事についたとしても活かせます。営業職はお客さまとコミュニケーションを取り、お客さまのためにさまざまな提案をおこないます。どの仕事についたとしても、必ず人との関わりはあります。営業職の経験で身につけたお客さまのためを思って行動できる力は、おおいに役立つでしょう。
営業職を続けることで得られるメリットがある
以上、営業職のメリット・デメリットについて、実体験をもとに解説しました!
営業職につくと、日々いろいろな発見があります。たいへんな面もありますが、引き換えに、営業職だからこそ身につくスキルや、得られる喜びがあります。自分には何が向いているのか、営業職を続けることでどんな良いことがあるのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
執筆:依尾 阿子