「営業職に応募しようと考えているが、自分の経験の何がアピールポイントになるかわからない」
今回はこのような方を対象に営業職の自己PRのポイントについて、例文を交えながら解説します。
私はもともとSE(システムエンジニア)で営業職の経験がありませんでした。しかし今回の自己PRのポイントを実践した結果、営業職への転職に成功しました。
それから営業職を7年以上続けていますが、転職したことに後悔がありません。本記事では例文を入れて、自己PRのポイントの解説とやってはいけないことをまとめました。
私が当時使っていた恥ずかしい自己PR文も公開するので、ぜひ参考にして内定を勝ち取っていきましょう。経験がなくても相手から高い評価を得られる自己PRが書けるようになりますよ。
1.営業職の自己PRポイント3つ
営業職の自己PRをするときに、以下のポイント3つを意識します。これは採用担当に、自己PRの内容がしっかりと伝えられるようにするためです。
・成果・成長が伝わる実績を伝える
・数字で表現する
・具体的なエピソードを伝える
私の経験則から大切な順に解説します。
1-1.成果・成長が伝わる実績を伝える
営業職で大切にされるのが数字や実績です。それは営業職は売り上げをつくることが仕事のため、これに貢献できると伝えることが重要だからです
未経験の場合「営業職の実績がないから何をアピールしたらいいかわからない」と悩みますよね。しかし心配はいりません。
その場合はあなたが成長できた部分で、営業に使えそうなスキル(コミュニケーションや目標を達成する力など)をアピールしてください。
あなたが積み上げてきた成果や成長はきっと面接官に響くでしょう。
1-2.数字で表現する
残念なことにざっくり「これまで仕事をとてもがんばってきた」と自己PRで伝えても、あなたのことを知らない面接官には理解ができません。
そこで、これまで担当したお客さんの数や売り上げ規模、目標に対する進み具合、社内でのあなたの順位などしっかり数字をつかって表現するのがおすすめです。
「6か月連続でノルマ達成」「2019年の第3四半期で社内で1番」など、どれくらいの期間でどの程度、結果を出せたかでまとめるとわかりやすくなります。
なぜなら、転職先でも営業成績を残せるかどうかで判断していることが多く、今の会社で十分な実績があれば採用されやすくなるからです。
私はコールセンターの営業会社で過去、何度か社内で1番をとったことがあります。もしほかの会社の営業職への転職を考えるとしたら、この実績を使って自己PRを作成します。
このように実績を数字で表現できるのは、信用できる自己PRの第1歩です。
1-3.具体的なエピソードを伝える
実績を数字で伝えるだけでは、営業職の自己PRとしてはもの足りません。それは抽象的な話だけでは相手が納得しにくいからです。
あなたが体験したエピソードを盛り込むと、さらに魅力的な自己PRへ変わっていきます。
たとえば、社内で1番をとったときのことを自己PRで伝える場合
・何を考えてどのように行動したか
・うまくいかないときにどのように改善したのか
・ハードルとなった部分はどこなのか
などについて思い出しましょう。物事が起きた順番どおりに考えていくと思い出しやすくなります。
ここからは具体的な自己PRの例文を説明します。
まずは営業職の経験がある方の自己PRの場合、以下のポイントにわけて考えるとつくりやすくなります。
・実績をアピールする場合
・コミュニケーション能力をアピールする場合
・お客さんとの関係性を高める力をアピールする場合
・満足度の高い提案力をアピールする場合
・目標を達成する力をアピールする場合
ひとつずつ確認しましょう。
具体的な話も加わると、あなたの魅力が十分に伝わる自己PRに仕上がっていきますよ。
2.営業職を経験した人の自己PR例文
2-1.実績をアピールする場合
<例文>
コールセンターの会社で、個人向けのインターネット回線を販売していました。すでにインターネット回線を利用しているお客さんから、電話営業で乗り換えの提案をする業務です。 入社して半年間はまったくといっていいほど結果が出ませんでしたが、社内で成果を出している同僚の音声を聞いて研究したり、直接アドバイスをもらったりすることで結果が出るようになりました。 入社後7か月~12か月の間に社内で1位を5回とるまで実績を残せました。 |
売り上げや予算の達成率、受注した件数は営業職にとって重要な指標です。なぜなら面接官は、実績がある人物かどうかを確認しているからです。担当していた業務をわかりやすくまとめたうえで、結果を出すにあたり工夫した点があればもれなく書きましょう。
またマネージメントの経験があれば、個人の実績だけでなくチームの実績についてもまとめると、よい印象を与えられます。チームで結果を出せることがアピールできれば、入社したあともマネージメントのポジションで働ける可能性があるからです。
営業についてアピールできる実績があれば、それは面接のときに強力な武器になります。
2-2.コミュニケーション能力をアピールする場合
<例文>
精密機械の商社でBtoBのルート営業を5年つめておりました。私の担当は会社でも取引歴が長いメーカーで、定期的な注文を受けることがほとんどでした。 しかし私は、いつもの納品だけで終わらせないように意識していました。取引先に訪問するときは ・なぜ依頼があったのか?・抱えている課題はなにか?・そもそも依頼どおりの注文を受けることで課題は解決するのか? といったことをヒアリングして、ほかに提案できるものがないかと常に考えていました。そして思わぬかたちで、別会社の紹介をいただけて売り上げを伸ばすことができました。 |
営業に関してこれといった実績がなくても問題ありません。小さな成功体験があればそれを深掘りすることで、より魅力的な自己PR文ができます。あなたの工夫やがんばったところを具体的にまとめることが大切です。
下記では傾聴の具体的なテクニックや注意点についてわかりやすく説明されています。コミュニケーションに関して自己PRでふれる場合、事前にチェックしてください。
2-3.お客さんとの関係性を高める力をアピールする場合
<例文>
私の強みはお客さんとの信頼関係を高められることです。相手の立場になって考え、期待されていることを把握し、それ以上のことをするためには何をしたらいいかいつも考えています。 人材紹介の営業を4年しています。心がけていることは人を紹介することをゴールにせず、お客さんの課題解決になるかという点を第1に考えることです。 そして「取引先の雰囲気に合っているか?」「スキル的に問題ないか?」なども考慮して人材を割り当てしているため「○○さんはいつも良い人を紹介してくれる」と高評価をいただけるようになりました。 |
仕事ではどの職種においても自主的な動きが求められます。いつも心がけていることが結果につながっていることをアピールすると、好印象を与えられるでしょう。
2-4.満足度の高い提案力をアピールする場合
<例文>
電話営業でインターネット回線の月額料金が下がる提案営業をしていました。地域限定の光回線のため知名度は低く、サービスは非常にいいものでしたが、会社としては開通率が課題になっていて50%を下回っていました。 私はキャンセルになっている理由を調べたうえで、それにひもづく受注パターンを見直したところ「お客さんに提案ができてない」と気づきました。 それから私のチームでは「今の光回線から乗り換えると、このように変わる」とビフォーアフターを説明したら、お客さんが光回線の乗り換えについて理解ができるようになり、開通率が50%⇒70%まで改善できました。 |
提案力をPRする場合、成果は数字とセットで見せることがおすすめです。とくに成約につながりやすい提案のパターンがあると自己PRの幅が広がります。事前にまとめておくと面接のときに話しがふくらみやすく、面接官の心にふれるアピールができるでしょう。
2-5.目標を達成する力をアピールする場合
<例文>
私は目標を達成する力をつけるには、PDCAサイクルをいかに早く回すかが重要だと考えています。日々の業務にあたるうえで、計画をたて(P)、実行し(D)、振り返りをおこなう(C)、改善する(A)のサイクルを意識しています。 一人では継続できないと思い上司に日々報告する習慣をつくり、定期的にアドバイスももらいノルマの達成に努めています。今ではチームのマネージメントを任されるようになり、13か月連続で部署の予算を達成するまでになりました。 |
PDCAサイクルを回すことで目標を達成する力にどのようにつながっていくか、言葉にする必要があります。この例文では上司をうまく巻き込み、日々改善を継続していることを述べています。このような工夫をしっかりと説明すると、相手は信用してもよいと思ってくれます。
採用担当に「本当にやってそうだな」とリアリティのある内容をイメージさせることがポイントです。
3.新卒は人柄重視!自己PRの例文
<例文>
私の強みは、粘り強くやり通せることです。 大学時代は、家電量販店で販売員をしていました。そこの職場は売上が振るわず、前年割れが続いてしまう状況でした。 私は10人1チームでパソコンの販売をしていましたが、チーム一丸となってチラシを設置する場所やポスターを掲示する場所、商品を陳列する方法などに工夫をこらしました。またスタッフ同士で販売のロールプレイングをおこない、セールストークをきたえました。 結果的に半年で黒字になり、1年後には店舗の売り上げが県内1位になりました。御社の営業職で働けることになりましたら、この経験を活かして貢献していきたいと思います。 |
新卒に関してはセールスの経験があってもなくても大きな問題はなく、人柄を伝えることが大切です。学生時代にがんばったことや結果を出せたことを、営業に必要なスキルに置き換えてアピールしていく必要があります。
この例文の実績は個人ではなくチームのものです。しかしそれでもあきらめず、販売店の営業活動をコツコツ改善していったことをエピソードを交えていくと相手に響きやすくなります。
4.営業職が未経験の場合の自己PR
つぎに営業職が未経験の場合です。
実はこの例文、もともとSEで営業職を未経験だった私が、営業職の内定をもらえた自己PR文です。
<例文(私の自己PR文)>
私は相手のことを考えた提案力に強みがあります。 私は新卒でシステムエンジニアの派遣会社に就職し、帳票を出力する製品の保守サポートに従事しました。大学時代は文系でパソコンをほとんど使ったことがなかったため、0からのスタートでした。文章の書き方を一から指導されましたが、その中で私が最も意識していたのは「お客さんにとってわかりやすい回答」を書くことです。 サポート製品について、簡単な操作方法から製品のバグ改修や検証テストまでさまざま。専門用語をつかわない、1回で理解できる回答をかくことを心がけていました。 もちろん、最初からできたわけではありません。上司からフィーバックを謙虚にうけとめて最後まであきらめずに改善しつづけたから満足度の高い回答を書けるようになりました。 結果、チームのKPI指標も向上し社内で表彰もされました。 私はこの経験を活かしてお客さんの満足度を上げる提案型の営業をしていきます。 |
大学を卒業して約3年働いた会社ではいくつか現場を経験しましたが、もっとも長かった保守サポートをピックアップして書きました。特に1つできたところを深掘りしてまとめたのがポイントです。
私の場合チームで評価された部分を成果としましたが、それでも自分が何をしてどのような成果を出したのか順をおってPRしていけば問題ありません。
加えてその経験が、採用されたらどのように貢献できるかを伝えれば、相手はイメージしやすくなります。
5.営業職の自己PRはPREP法でまとめる
自己PRをするとき営業職に活かせる強みがあっても、それが相手に伝わらないと意味がありません。面接官にあなたを採用するメリットを伝えられるように、文章の書き方や伝え方をチェックしましょう。
おすすめが「PREP法」です。
「PREP法」とは、結論(Point)⇒理由(Reason)⇒具体例(Example)⇒結論(Point)の順番で話を進めていく方法です。
(1) 結論(Point)
最初に結論(あなたの強みやPRポイント)を伝えることで、相手はあなたの自己PRしたいことを理解しやすくなります。結論がわかっているので、このあとにつづく文章や話す内容も相手の頭に入りやすくなりストレスがありません。
(2) 理由(Reason)
相手はあなたについて何も知らないため「私の強みは○○です」と言われても、疑問に感じてしまいます。第三者が見ても十分に納得できるように、なぜそれが強みなのか理由を入れてください。あなたの主張に根拠を持たせることで、相手はより納得しやすくなります。
(3) 具体例(Example)
理由を加えたあとに具体的なエピソードを入れると、さらにわかりやすくなります。相手に信用してもらうために可能であれば数字をいれるのがおすすめです。数字をいれることであなたの成果やがんばりが客観的に見てもらえるからです。
(4) 結論(Point)
最後にもう1度、結論を述べるときれいにまとまります。この場合、応募している会社であなたがどのように役立つか、どのような場面で貢献できるか伝えましょう。入社したあと活躍できる人材を探しているため、応募先の会社のこともリサーチをしてアピールをしてくださいね。
<PREP法をもちいた営業職の自己PR例>
結論(Point)私の強みはコツコツと継続できる点です。 理由(Reason)それは大学4年間、地元の高級焼肉店で辞めずに働きつづけて、大学生ではじめて店長代理になれたからです。 具体例(Example)私の働いていたお店は高級店のため、店長や先輩スタッフの指導が日々厳しいものでした。入ってきたアルバイトが続々とやめてしまう中、言葉づかいからお客様への対応までひとつひとつ勉強していき身につけていきました。 結論(Point)そのため私の大学4年間は、自分がコツコツ継続できる大切さを身にもって学べた期間であると感じています。 |
とくに文章を書くのが苦手な方は一度、PREP法をつかって自己PR文を作成することをおすすめします。
6.自己PRでやっていけないこと3つ
自己PRをするときに気をつけたいポイントは以下のとおりです。
・肩書だけで実績のない自己PR
・エピソードを語れない強み
・営業職に活かせない強み
この3つについて、私が身をもって重要と感じている順番にお伝えします。
6-1.肩書きだけで実績のない自己PR
肩書きだけでは何をPRしたいのか伝わりにくくなります。場合によっては自慢話に聞こえてしまいます。
もちろん「アルバイトで店長代理」「入社●年で課長職」といった肩書きはそれだけでも素晴らしいものです。ただあわせて、事前に実績や貢献できるポイントもまとめてください。
以前、保険販売をしている会社の社長が「前職の肩書き押しでウチに応募している人がいるけど、一緒に働いてみると使えないのが多い」とおっしゃっていました。
これを聞くだけでもゾクッとしますよね。
肩書きと実績はセットにして伝え、入社したあとどのように貢献できるかアピールしましょう。
6-2.エピソードを語れない強み
強みだけを伝えてもそれにまつわる具体例がなければ、相手に「本当にそうなの?」と思われてしまいます。たとえば「私は粘り強い性格です」と自己PRをするだけではなにも伝わりません。
そのため「私は粘り強い性格です。家から大学まで通学時間が2時間かかりましたが4年間、授業を休むことなく通い続けました」とエピソードも語れば、相手に響きやすくなります。
自己PRのエピソードはあなたの強みを説得させるための大切な材料です。
6-3.営業職に活かせない強み
あなたの強みがまず営業職に活かせるかチェックしてください。コミュニケーション能力の高さや目標達成に向けた気持ちの強さなどは営業職として役に立ちます。しかし、TOEIC○○点やファイナンシャルプランナーなど「資格を持っていること」だけを示した自己PRは活かせないことがあります。
営業職を採用する担当としては、営業ができるもしくはできそうな人材を採用したいはずです。この立場になって考えてみればわかりますよね。
応募先の会社によってその資格が役に立つかどうか判断しなければなりません。
7.営業職に求められる3つの能力とは?
営業職に求めらる能力とはどのようなものでしょうか?
営業職を7年以上つづけてきた私がおすすめする能力は以下の3つです。
・コミュニケーション能力
・結果を出す力
・忍耐力
重要な順番に説明します。
7-1.コミュニケーション能力
営業職として必要なコミュニケーション能力は「質問する力」と「聞く力」です。それはお客さんの課題や困りごとを発見し、解決することでお金をもらうのが仕事だからです。
外交的な性格で話し好きが一般的に営業に向いていると思われがちですが、そういうわけではありません。私は内向的な性格ですが、お客さんのニーズや要望をくみ取るのが得意なため成果を出すことができています。
話し好きで明るい性格であれば人に好かれる側面はもちろんあります。しかしお客さんに刺さる提案ができないため、価格の高い商品が売れないこともあるのです。
トップセールスマンの中では「聞く8割、話す2割」とよく言われています。話しがうまいだけでなく課題を解決するような提案をする、バランスのよいコミュニケーション能力が求められるでしょう。
7-2.結果を出す力
営業職は売上をのばすことが仕事です。シンプルであるがゆえに、成果を厳しくみられる職種といえます。結果をだすためにどのような行動が必要かを考えて、自身でPDCAサイクルを回さなければなりません。
とくに月末や決算月になると、罵声がとびかう殺ばつとした雰囲気の職場も多くあります。ストイックに数字をつくりつづける姿勢と気持ちを営業職は持ちあわせた方がいいでしょう。
<h3>7-3.忍耐力</h3>
営業職は人と接することが多く人疲れすることや、思うように結果が出ないこともあるため精神的に疲れることが多くあります。そのため、そのストレスに耐えられるような忍耐力が求められます。
実をいうと営業職にとって必要なスキルはほかにもあります。くわしくは下記の記事でまとめられているのでぜひ参考にしましょう。
>>「営業職 スキル」へ内部リンク
8.営業職の自己PRといえど貢献する気持ちが大切
私はSE(システムエンジニア)から未経験で営業職に転職し、それから7年以上営業職を続けることができています。しかし思いかえすと、当時SEの私に内定をくださった会社は私のスキルを評価したわけではないと感じています。
あるときその会社の社長にお話をうかがう機会があり、こんな言葉をいただきました。
「パソコン関連のスキルに追いつけるかわからなかった。それでも内定を出したのは、君のこの会社で貢献する気持ちが伝わったからだよ」
営業職の自己PRは、未経験であろうと関係なくつくれると感じています。あなたの貢献できるポイントをアツく伝えてみましょう。
最後に今回の記事は、あくまで営業職の自己PRについてまとめたものであって、これだけで営業職の面接に通過するわけではありません。
営業職の面接については下記でくわしく解説しているので、あわせて確認してください。
>>「営業職の面接で必須ポイント5つ|知るべき質問6選&回答例」