新社会人や初めて営業部へ配属になった方は、営業としてどんな身だしなみが必要か迷ってしまうことも多いでしょう。「NGなヘアスタイルってあるの?」「チェックのスーツってあり?」「アクセサリーってつけてもいいの?」など、ちょっとしたことですが、初めての場合は判断に迷ってしまいますよね。
制服やリクルートスーツでよかった学生の頃とくらべて、自分で判断しなくてはいけない部分も多くなります。そして、お客さまと良い関係を作って商談をうまく進めるためにも、身だしなみはとっても大切!
今回の記事では、「服装自由! 茶髪もアクセもネイルもOK!」のマスコミ業界で、10年以上の営業を経験した筆者が営業マンの身だしなみについて解説します。
どんなに自由な業界でも、固い業界でも、身だしなみを考えるときのポイントは同じです。営業マンにとって大切な理由やおさえるべきポイント、髪型や服装の具体的な整え方をご紹介します。
営業マンとして適切な身だしなみを身につけましょう!
営業マンは見た目が命! 身だしなみが重要なワケ
身だしなみを整えることは社会人としてのビジネスマナーであることはもちろん、良い印象を与えて相手からの信頼を得るための効果的な方法のひとつです。身だしなみが不適切だと、信頼を得られずにビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。
「人は見た目が9割」という言葉を聞いたことはありませんか? 2005年に出版され114万5000部のベストセラー本(竹内一郎著)のタイトルでもあります。※竹内一郎プロフィールより
その言葉のとおり、「まじめそうな人だな」「なんだか信用できないな」といった第一印象は、その人の見た目が大きく影響しています。出会ってパッと見たときの印象で、営業マンのイメージもつくられてしまうのです。
1-1.営業マンの身だしなみで知っておきたい3つのポイント
営業マンが身だしなみを整えるときに気をつけたいポイントは大きく3つです。
- 清潔感、さわやかさがあること
- 場にふさわしい服装であること
- 相手が受ける印象を考えること
清潔感はまじめさを、さわやかさはイキイキとした元気な印象を相手に与えます。ビジネスの場であることを意識したセミフォーマルな服装、身だしなみを心がけましょう。営業マンが身だしなみを整えることは自分の好きなオシャレをすることとはちょっと違います。相手に不快感を与えない身だしなみであることが大切です。
営業マンの身だしなみ、基本を紹介
続いて、具体的な身だしなみの整え方を紹介します。これは営業マンの身だしなみとして基本中の基本ですので、必ず身につけておきましょう。
2-1.髪型は清潔感をキープ
髪の毛はスッキリ短くカットが基本。前髪が目にかかるのは絶対NG。まゆ毛よりも上にし、おでこをだすとなお良しです。もみあげも伸びすぎないように注意し、耳とこめかみを出すようにしましょう。えり足もえりにつかない長さにカットします。
髪型は顔の印象を大きく左右するので特に気にしたい部分です。顔まわりの髪が長いと顔が暗く見えてしまう場合があります。男性であれば月に1度はカットをして長さを整えましょう。
2-2.まず最初に買うべきスーツはこれ!
スーツの形はベーシックなものを、色は黒、紺、グレーなど暗い色を選ぶのが無難です。チェックなどの柄が入っていないものを選ぶようにしましょう。
肩幅や胸まわりのサイズのほか、袖の長さも気にしましょう。スーツの下に着たワイシャツの袖が1~2センチほど出るのが正しいサイズです。
帰宅したあとはハンガーにかけてブラッシングする、定期的にクリーニングに出すなどのお手入れも忘れずに。シワや色あせ、型くずれのないように気をつけましょう。ジャケットのポケットにパンパンに物を入れていると見た目もだらしなく、型くずれしやすくなってしまいます。
また、 着こなしで意外に知られていないのは、男性のジャケットの一番下のボタンは装飾の意味合いなのでとめないこと、ポケットのフタ部分(フラップ)はホコリよけなので屋外では外に出す、屋内ではポケットにしまうことの2点。細かいところですが、覚えておいて損はありません。
2-3.不快感を与えないシャツの色は?
ワイシャツは白シャツが基本! 清潔感があり、さわやかな白シャツを見て不快に思う人はいないでしょう。首まわりと袖の長さのサイズが合っているシャツを選んでください。
えり元や袖口の汚れに注意し、ビシッとアイロンのかかったシャツを着用しましょう。
2-4.ネクタイの色でイメージは作れる
ビジネスの場でネクタイの色にマナーは特にありませんが、ここでも相手に与える印象を考えて選んでみましょう。
たとえばこんな選び方はどうでしょうか。
- 赤系:パワフルな印象を与えるので、ここぞという大事な商談で着用
- 青系:落ち着いた印象で信頼感を与えるので、初めて訪問するときに着用
- 黄色系:明るく元気な印象を与えるので、新人の営業マンが着用
顔写りが良い似合う色を選ぶことも大切です。
近年は夏のクールビズでノーネクタイOKの会社も増えています。しかし金融などカタい業種では、商談のときには夏でもネクタイを着用すべきとしているケースも多くみられます。また、「営業に来るんだからマナーとしてネクタイはするべき」と考える方も多いので、少なくても初めて訪問するときにはネクタイを着けていくようにしましょう。
2-5.できる営業マンは靴にも気を抜かない
スーツに合わせるのはフォーマルな革靴です。黒か茶色を選びましょう。先がとがっているデザインや装飾が多いものはさけた方が無難です。
そして、特に注意したいのはお手入れです。足元は意外に目につくもの。靴がきたないと一気に印象が悪くなってしまうので、定期的なお手入れを欠かさないようにしましょう。
2-6.ヒゲ、肌、爪などの細かい部分も見られている
ヒゲは毎日そり、肌あれやニキビなどの手入れも忘れずに(男性もですよ!)。
爪も短く切りそろえ、爪の間によごれがないかもチェックしましょう。指先は名刺を交換するときや文字を書くときに目につきます。
男性用スキンケア化粧品や爪みがきグッズなどもあるのでぜひ試してみてください。
細かい部分かもしれませんが、身だしなみに気を使えるということは、仕事も細かく丁寧に取り組んでくれるという印象につながります。
女性営業マンの身だしなみはこんな点も注意
近年は女性の営業マンも増えています。女性の営業マンの場合も、身だしなみの基本は同じ、清潔感 ・さわやかさ、場にふさわしい服装、相手に与える印象を考えること、の3点です。
プラス、女性ならではの身だしなみとして気をつけたい部分をご紹介します。
3-1.スーツ
女性のスーツも黒、紺、グレーなどのダークカラーが基本です。
しかし、明るい色のスーツも素敵ですよ。オフホワイトなどの明るい色のスーツは場がパッと明るくなります。業種にもよりますが、ぜひ取り入れてみてほしいです。
スカートとパンツのマナーなどはありませんが、パンツスーツの方が少しカジュアルな印象になります。
個人営業でご自宅にうかがい、床に座る可能性がある場合は、パンツスーツをはくことをおすすめします。
3-2.化粧
メイクは顔の印象を明るくするのが目的です。特に大切なのはまゆと口元。ナチュラルメイクで自然に整えるくらいが良いと思います。リップは似合う色をしっかりつけてくださいね。
そして一番効果的なメイクは素敵な笑顔! 「 笑顔に勝る化粧なし!」です。
3-3.ネイル、アクセサリー
ネイルやアクセサリーが許される範囲は業界や会社によりますが、ここでも基本は相手に不快な思いをさせないということ。
たとえば、長すぎる爪や派手すぎるネイルアート、大ぶりのピアスや派手なネックレスなどはひかえた方が無難です。
特に、ネイルは名刺を交換するのときに必ず目に入るので、派手なネイルは男性にぎょっとされてしまうことうけ合いですので気をつけましょう。
ただし、マスコミやアミューズメント業界などではあまり気にされないケースもしばしばみられます。先方の担当者が女性の場合は、ネイルやアクセサリーの話題で盛り上がることも少なくありませんよ。
3-4.足元
女性のスーツに合わせる靴はパンプスです。サンダルやミュールはNGですよ。女性のパンプスの手入れで特に気にしたいのはヒールの部分。ヒールがすり減ってくるとかかとの金属があらわになり、歩くたびにコツコツという音が鳴ってしまいます。定期的に確認して、かかとがすり減っている場合ははり直しましょう。
素足のままパンプスをはくのはやめ、必ずストッキングをはきましょう。伝線などのトラブルをさけるために、予備のパンプスをカバンへ1着入れておくのをおすすめします。
3-5.肌の露出
シャツの胸元がはだけている、スカートが短すぎるなど、肌が出すぎないように注意しましょう。体の線が出すぎてしまうようなタイトすぎる服装もNG。相手が目のやり場に困ってしまうのはもちろん、ビジネスの場にふさわしくない服装はだらしない印象を与えてしまいます。
営業マンなら知っておきたい、プラスアルファの身だしなみ
自分では意外に気づかないけれど、知っておきたい身だしなみ……それはにおいです!
特に夏は、汗のにおいに注意! 汗をかかないのは無理ですから、ハンカチをカバンへ入れておいてこまめに汗をふく、制汗スプレーや制汗シートを使用する、訪問する場所へ少し早めに着くようにして汗が引くのを待ってから入室するといったことを心がけましょう。
また、タバコのにおいも自分では気づきにくいですが、相手を不快にさせてしまいます。商談が始まる前のタバコはひかえる、ガムやブレスケアを常に持っておくといった対策をしてくださいね。
相手は身だしなみで気になったことをわざわざ教えてはくれません。できるだけ自分で対策しましょう。
営業マンの身だしなみとオシャレは別! オシャレしたいならこちら
営業マンの身だしなみはマナーであってオシャレではありません。でも、「どうしても茶髪にしたい!」「どうしてもネイルアートがしたい!」「どうしてもオシャレなスーツが着たい!」という方に、とっておきの裏技をお教えします。
それは、「オシャレをするのが仕事」の業界で営業マンになることです。
私がマスコミ業界で営業をしていたころ、上司から常にこんなことを言われていました。
「アパレル業界の営業マンが『今年はこんなラインの服が流行っているんです』と言いながら黒のベーシックスーツを着ていては『ほんとに流行わかってるの?』となるよね。美容業界で女性営業のマンが『このメイクがはやっているんです』と言いながらすっぴんなら『自分はしてないのに?』となるよね。
流行を先どりするマスコミ業界で働いている私たちは、流行を取りいれて身だしなみ整えることが大切。身だしなみをオシャレに整えることで、営業トークに説得力を持たせることができるんだ。真っ黒のリクルートスーツを着た営業マンに、『これからこのスタイルがはやるので広告を打ちましょう』と言われても『ほんとにわかってるの?』となるだけだから」
身だしなみが与える印象は業種や相手の求めることによっても大きく変わります。相手に合わせた身だしなみを考えることは業界を知り、相手のことを知ることにつながります。
オシャレにこだわりがあり、仕事中にもゆずれない! という方はアパレルや美容、マスコミ業界など「オシャレ」な業種に進むというのも方法のひとつですよ。
営業マンの身だしなみを知って印象UP! からの売上UP!
営業マンにとって身だしなみを整えることは、相手に良い印象を与えて信頼を得るための効果的な方法のひとつです。第一印象が良ければ、相手からの信頼を得て商談がスムーズに進むでしょう。しかし、印象が悪ければ良い関係を築けずにビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
清潔感・さわやかさ、場にふさわしい服装、相手に与える印象の3つの要素を考えながら身だしなみを整えましょう。
髪型、スーツなどはもちろん、爪やにおいなど細かいところまで注意。細かい身だしなみに気を使えることは、仕事も細かく丁寧に取り組めるということにもつながります。ちょっとした身だしなみで印象をアップし、営業をスムーズに進められるのだとしたら、取り組まない手はありませんよ 。
執筆者:小山佐知子